FTX公聴会、新CEOジョン・J・レイ氏による証言の一部翻訳

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2022年12月17日〜18日にかけ、FTXの崩壊について米議会で公聴会が開かれ、その内容が面白かったので一部を抜粋しつつ翻訳しました。

現在、エンロン事件の破綻処理を手掛けたジョン・J・レイ・3世がFTXの新最高経営責任者(CEO)を務めています。 レイ氏はメディアへの露出があまりなかったため、米政府がでっち上げた実在しない人物だという噂が流れたほどよく知られていない人物でした。 そんな噂にもかかわらず公衆の面前で語る姿は堂々としたもので語り口も明瞭でした。

米議会の公聴会でレイ氏はFTX旧幹部がいかに経営知識のないずぶの素人集団であったことや中央集権的すぎたことを厳しく批判。FTXとアラメダ・リサーチはほぼ同一の組織であり、顧客の資産を勝手に使い込んでいたこと。エンロン事件よりもはるかに悪質な事件であると語りました。  

以下一部翻訳抜粋 

新CEO、ジョン・J・レイ氏による証言 

質問者(ワグナー議員)「レイさん、あなたは本件がエンロン事件よりも悪質であると言いました。歴史上最悪の企業詐欺よりも悪質であるという理由を詳しく説明してくれませんか」 

レイ氏「私は数々の企業詐欺事件の解決にあたってきましたがFTXのような案件は初めてです。FTXの件は非常にまれなケースで記録管理など全く行われていませんでした。従業員はインボイスや取引をSlackというチャットツールを通じて行っていました。 

さらに数十億ドル規模の企業なのにも関わらず、経理業務のソフトに Quickbooks を使用していました。 

(質問者)ワグナー議員「Quickbooks!?」 

レイ氏「Quickbooks に対して何も含むところはなく良いツールですが、あの企業規模で使うようなツールではありません。 

独立した役員会などがなく、一人の人間がすべてをコントロールしていました。これほどの規模の企業では滅多にないことです。これに仮想通貨という要素が加わり問題を複雑化させました。」 

~中略~ 

レイ氏「エンロンは他とは違った企業で、そこで行われていた企業詐欺は曲者たちによって高度に組織化されたものでした。 

一方、FTXで行われたことは、顧客の金を盗んで自分たちで勝手に使ってしまうというかなり陳腐な横領です。衆目から隠し通す手口は見事なものでしたが詐欺の手口自体は古めかしいものです。」 

〜中略〜 

レイ氏「アラメダ・リサーチの運営は顧客の資金に依存していました。それが主な原因です。 

非米国人向けの取引所であるFTX.comからの資金は、アラメダで(失敗した)投資やその他の支出に使用されました。 

内部統制や私仕分離が全くなされていませんでした。」 

※Quickbooksは中小企業や個人事業主、外食店向けの経理ソフトです。 

FTXはどれだけの資金が残っているのか

現在、FTX USとアラメダ・リサーチがそれぞれ100〜500億ドルほど保有していると見られていますが、果たしてどれほどの資金が残っているのか。誰が先に払い戻しされるのでしようか。 

PYMNTS – FTX US and Alameda Research Each Have Liabilities of $10B to $50B

レイ氏「我々は10億ドルほど安全なコールドウォレットに確保することができました。すべての資産の安全を確保するのは数週間から数ヶ月かかるかと思います。」 

議員「FTX債権者は米国内、海外どちらが多いですか」 

レイ氏「大半の債権者は.COMサイロ、米国外のサイトを経由して取引していました。しかしUSサイロを経由して取引をしていた外国人もいます。その逆もしかりです。」 

公聴会2日目には本来はバンクマン‐フリードも出席する予定でしたが、当日明朝に王立バハマ警察により逮捕されることとなり、実現しませんでした。 

その代わりに著名投資家ケヴィン・オレアリー氏がバンクマン‐フリードを擁護し、FTXの崩壊はバイナンスのCEO、CZ(チャンポン・ジャオ氏)の策略であると大演技が行われます。こちらも面白く見どころではありましたがジョン・レイ氏が証言した内容がFTX崩壊につながったのは火を見るより明らかでしよう。CZは崩壊を早めただけにすぎません。 

また、鬼の首を取ったように仮想通貨の存在自体を悪であるとし、質問というより演説を行う議員も出てきました。

しかし想像していたよりも冷静な議員も多かったです。本件と仮想通貨の存在意義について混同すべきではない。同じような事件は黎明期の株式市場でも起こったこと、法規制は必要だが仮想通貨の技術的な特異性は侮るべきではないとする意見もありました。

ですが、そのブロックチェーン技術もNFTなど、ろくな使い方をされていない現状を鑑みるに擁護がしづらくなっている情勢を感じます。徐々に規制も強化されていくものと思われます。

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おわり 

Image by MotionStudios from Pixabay

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