本当に海外ではタトゥーは広く受け入れられているの?

時事
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2016年1月28日

まえがき

日本において入れ墨は古くは縄文時代からその存在を確認でき、日本古来からの伝統であったと言っても良いでしよう。特に入れ墨文化は江戸時代には歌舞伎とともに労働者階級に広く浸透しました。

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しかし明治時代に入り急速に西洋化する中で日本の多くの文化が否定され、入れ墨も野蛮な文化であるとの理由から法で原則的に禁止されました。その一方で外国人には禁止されたかったため、日本の刺青師の技術の高さに驚いた来日した外国人を通じて欧米に伝えられ、上流階級を巻き込み日本の入れ墨が大流行りしたという面白い歴史があります。

戦後入れ墨は合法となりましたが反社会的勢力が熱心にアイデンティティとして使うことになったことで多くの人からいまだに風当たりが強いのが現状です。さらに医療行為かどうかという論争が続いており彫師という職業自体がグレーゾーンです。

日本の現状は日本人ならば誰もがわかることですが、では海外では入れ墨はどのように社会で見られているのかが気になるところです。

「海外では刺青、タトゥーはファッションとして広く受け入れられている。」「日本は温泉で禁止しているのはおかしい」というような話題はTVや新聞、Webメディアでよく耳にします。

今まで特に疑問も興味も持たず、そうなのか、と納得していましたがたまたまYouTubeで見かけた動画が面白かったのでご紹介。それと海外では本当に入れ墨、タトゥーが一般的で社会的にも受け入れられているのかをちょっと調べました。

タトゥードッキリ動画

自分でもYoutubeを漁ってみたところ様々な反応がありました。

「tattoo prank」や「tattoo parent」で検索すると偽物のタトゥーを使ったドッキリ、悪ふざけが山ほどあります。このことからも親世代がタトゥーに否定的だというのが感覚的、直感的にも子供世代はわかっているのでしよう。

一番快く受け入れてたお母さんもニセのタトゥーだと種明かしされたとき、どこかホッした表情をしているように見えます。今の若年世代に受け入れられているかもしれませんが、その親世代はあまり快く思っていない方が多い印象です。

さらに、最初の動画の中でも言っている人がいますが、キリスト教やユダヤ教ではタトゥーを旧約聖書で禁じているようです。

あなた方は死者のため、自分の体に傷をつけてはならない。また自分の身に入れ墨をしてはならない。わたしは「主」である。

旧約聖書 レビ記19章28節

新約聖書では入れ墨について特に記述はないそうですが、熱心な教徒の中には宗教上の理由からタトゥーに反対している人もいるのではないでしようか。

職業選択に及ぼす影響

ここからは海外でタトゥーがどのように社会的に見られているのか、を何例か調べました。一番わかり易いのが職場での扱いでしよう。さらに職業選択にどのように影響しているのでしようか。

BBC(英国放送協会)

BBC「Should anti-tattoo discrimination be illegal?

こちらBBC「タトゥー差別は違法化すべきか?」という内容の記事です。

英国、ミルトン・キーンズでコンサルタントをしていた女性が足に掘った4cmの蝶々のタトゥーが露出していたことで契約破棄された話。

ヨークシャー州でウェイトレスをしていた39歳、三児の母。腕のタトゥーを露出していたことが原因で客からの苦情が入り、解雇になった、などなど。

The Economist(米国、ザ・エコノミスト)

The Economist「Body art is growing more popular, though few employers are keen」

「ボディアート(タトゥー)人口は増えているが、いくらかの経営者たちは厳しい目で見ている」

米国では成人の5人に1人はタトゥーをしている。40代以下だと5人中2人にも昇る。女性は男性を上回る人口が掘っているらしい。

しかし、未だ雇用者や企業経営陣はタトゥーが反抗的な性質を持っていると考える人が多いようだ。31%の経営者は露出している(服を着ていてもひと目でわかる)タトゥーは不採用の理由の一番にあげている。タトゥーをする人はリスクを取る傾向が強いというデータもあるからだという。

IBISWorldによればタトゥー人口が増える一方、ここ10年でタトゥー除去手術も約4.4倍も増えてる。

The Working Parent(米国、ザ・ワーキングペアレンツ)

こちらの母親向け就職支援サイトでは、タトゥーがドレスコード違反ということで希望の仕事に就けない可能性を指摘。タトゥーを理由として拒否されても法律は守ってくれませんよ、とも書かれています。隠せるタトゥーは社会的に受け入れられつつあるけれど、米国でもフルスリーブや顔へのタトゥーなど目に見えるタトゥーへの忌避感はまだまだあるみたいです。

個人的感想

調べて見るとなかなか複雑ですね。米国でさえ肯定派、否定派5/5と言った感じでしようか。イギリスでは就職にモロに影響してますね。タトゥーというのはエゴやアイデンティティの印ですからそれらが露出しているというのが気に食わない採用担当者もいるのかもしれません。

海外ではこれが常識だ。とか言うメディアの情報は良く目にしますが、実はそれはほんの一部で案外日本の常識と似たりよったりなことも多いと最近感じます。

海外では若い世代に広まってきているけれど宗教上の理由や新しい文化であるため受け入れられない人もおり、日本は古来からの文化であるにも関わらず欧米から白い目で見られたくないから禁止され諸々の理由から忌避されているという対比も興味深いです。

あるいは人種文化宗教など関係なく、嫌悪している人の多くにはそんなに深い理由など存在しないのかもしれません。海外の親御さんの反応をみるに単純に自身の体を傷つける行為が悪印象であるというのが嫌入れ墨派のマジョリティなのかなとも考えます。

とはいえ、タトゥー・入れ墨は世界的に文化や個性として肯定的に捉える動きは加速し、法整備を進めている国も出てきました。いずれは日本の世論も徐々に変わっていくものと予想できます。

Photo by Dominika Roseclay from Pexels
Photo by Cytonn Photography on Unsplash

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