2020年からグラボ価格はコロナと仮想通貨需要の急速な拡大で高騰しました。今年の4月からの仮想通貨大暴落や米中経済の停滞でグラボの需要が減り、新品価格のグラボの値下げが中古グラボの値下げを追いつきそうな勢いで値下がりしてます。
いつ価格が底を打つのか今か今かと見守っている方も多いかと思います。
当方はグラボ価格が更に下落すると予想しています。そう考える要因は大きく分けて4つあり、本記事ではそれについて解説していこうと思います。
米中銀の金融引き締め
露のウ侵攻に伴い、原油価格を始めとして世界中で急激に物価が上がってしまいました。先月8月、米国ではティッシュペーパー1箱、トイレットペーパーが1ロール400円以上もするという異常事態が起こりました。
そこで物価の番人である米中央銀行(FRB)は金融の引き締めを行うことでインフレを抑制し始めました。市中に流れるお金を減らして物の価値に対して通貨の価値を高めようという試みです。今後年末にかけて米経済が冷え込むと同時に物価が低下してくる可能性が高いです。ということは当然グラボの価格にも影響してくるわけです。
FRBのパウエル議長、ブレイナード副議長両名はインフレを徹底的に抑制することを宣言しています。物価上昇は緩やかになりつつありますが依然として賃料や不動産価格が急上昇しているため、多少株式市場に混乱が生じようとしばらくは利上げを止めるということもなさそうです。制御不能に陥ったインフレほど怖いものはないからです。
中国経済の停滞、不動産危機
中国の恒大集団(こうだいしゅうだん)グループという不動産開発大手が一年くらい前から財政危機に陥っているということを聞いたことがある人もいると思います。この問題が明るみになって以降、所得に見合わない不動産購入への中国当局の規制が厳しくなり、同じようなポンジ・スキームまがいの経営を行っていた不動産開発企業が次々と資金繰りが厳しくなりました。
企業は建設会社への資金を払えなくなり、建設がストップしてしまう事態が起き、いつまでも建物が完成しない住宅購入者たちは工事が再開されない限り住宅ローンを支払わないという手段で抗議しました。
ますます資金繰りが厳しくなった不動産開発会社は破綻に危機を迎えています。それに伴い不動産投資会社に資金を貸していた地方銀行も倒産の危機に瀕しており、自分の口座からお金を下ろせなくなってしまっている人たちが大勢ではじました。
事態は中国全土に広がり政府までその補填に乗り出す騒ぎに。このショックが今まさに中国経済を直撃しております。中国の経済低成長に伴いハイテク需要もかなり減少しており、その余波でグラボ需要も減少しています。
イーサリアムの統合
そしてゲーマーの宿敵である仮想通貨の影響も大きいです。仮想通貨全体の需要が低下しているだけでなく、イーサリアムの統合「The Merge」という大きなイベントが迫っており、これが昨今のグラフィックボードの投げ売りにつながっています。
イーサリアムは現在もっとも取引の多い仮想通貨ですが、9月15日(2日後)に大きな節目を迎えます。今までイーサリアムの通貨としての価値を保証していた仕組みが大きく変わるのです。
旧来、仮想通貨は価値を保証するために膨大な演算を必要としていました。イーサリアム 2.0では地球環境への負荷を減らしスケーラビリティの拡充、ネットワークの高速化を図るため、PoW(Proof of Work)、仕事(演算)をしただけコインをもらえる仕組みからPoS(Proof of Stake)、保有コインが多い人ほどブロック認証も多くもらえる仕組みへと転換が行われます。実際はもっと複雑な仕組みですがここでは概要だけにとどめます。
今まで通過の価値を保証するための膨大な演算は必要なくなり、それに伴って演算することでもらっていたご褒美がもらえなくなるわけです。マイニングに使われていたグラボが中古市場にあふれるでしよう。
イーサリアムから別のPoWコインに移行するだけなのではないかとも言われていますが、すっかり仮想通貨全体の価値が下がってしまった現在、採掘コストを上回るような魔法のコインが急に出現するとは考えにくいです。
GPUメーカーの値下げ要求
グラボ需要が減ってしまったことにより、AMDやNvidaは余剰在庫がかなり残ってしまっているようです。在庫は抱えているだけでコストがかかりますからこれを捌けようとGPUチップメーカーはAIBパートナーに値下げを要求しています。
グラボ需要の激減により苦しんでいるAMDやNvidiaは新シリーズの発売前に既存モデルのカードを一掃したいようで大きな値下げに踏み切っています。日本国内でも新品のRTX 3090が先月(2022年8月)までは30万円前後で販売されていましたが9月に入って16万円くらいまで値下げしているところもちらほら見かけます。
GIGAZINE – NVIDIAのGPU不足が解消され余剰在庫が発生
締め
以上が当ブログが考えるグラボ価格がさらに下がると考える要因です。
LHR制限された3050や3060などのミドルレンジカードがなかなか値下がりしていませんがこれは単純に過去に需要が高かったのと二十分に供給されなかったのが原因と思われます。
NVIDAはマイニング専用カードを作ったりハッシュレートを制限した措置がゲーマーになにももたらさなかっただけでなく、こうして値下げの阻害要因になってしまっています。ミドルレンジは大きく値下がりしたAMDを購入したほうが幸せになるかもしれません。
既存グラボの売れ行き次第ではRTX 4000やRX 7000シリーズのミッドレンジ、ローエンドモデルの発表も来年の夏以降になるか、少量生産にとどまると思います。チップメーカーは今後もっと利益が出るまで減産してくるでしよう。そして再び値上がりのサイクルが繰り返されるのでその時期が来る前に良い買い物をしましよう。
一番の懸念材料は今以上の急激な円安で他国よりも恩恵を受けられないかもしれません。本ブログで注意深く見守っていこうとおもします。
この記事に対するご指摘、ご意見がございましたら是非コメント欄に書き込んでください。内容によっては加筆修正する所存です。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
おわり
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