先月電撃的な開発発表がされたWindows 11。その際、今年のクリスマスシーズンにリリースすることと最小システム要件も発表された。またWindows 10 HomeおよびProのサポートを2025年、つまり4年後に終了することを正式に発表した。
発表されたシステム要件
マイクロソフトが発表した最小システム要件は以下のようなものだ。
CPU | 1Ghz以上かつ2コア以上有している64bit互換プロセッサ Intel Core i 第8世代(Coffee Lake)以降 AMD Ryzen 第2世代(Zen+)以降 |
DRAM | 4GB以上 |
ストレージ | 64GB以上 |
システムファームウェア | UEFI+セキュアブート |
TPM | バージョン2.0以上 |
グラフィックス | DirectX 12 以上 |
ディスプレイ | 9インチ以上の8bitカラーディスプレイ(720p以上) |
このWindows 11の要件があまりに高かったためネットは阿鼻叫喚に包まれた。
また2015年にシカゴでマイクロソフトはWindows 10が「最後のWindows」になるという紛らわしい、詐欺と呼ばれてもおかしくない発表をしたことを多くの人の耳に届いてしまった。このため新しいバージョンのWindows OSが出ること自体寝耳に水だった人も多かったようだ。
さらにマイクロソフトがリリースしたWindows 11が動くかどうか判定する「PC正常性チェックツール」がお粗末だったため、火に油を注ぐ形となった。非難轟々だったためか先月(2021年6月)28日にマイクロソフトはこのWindows 11互換性チェックプログラムを一時非公開にした。
さっそくアップグレード特需をみこんでかデスクトップ用マザーボード向けのTPMモジュールが転売屋に買い漁られ、売り切れになったり価格が通常の3倍近くというアホみたいな値上がりをした。TPMモジュールが最初から搭載されたマザーボードよりも高価になってしまっている。
Windows 11 Insider Previewでは、Intel Core i 第7世代、AMD Ryzen 第1世代とやや要件を緩和したようだが相変わらず厳しいという人も多いだろう。またこれはあくまでプレビュー版で正式版ではないためWindows 11の本リリースでシステム最小要件が変更となったわけではないようだ。
なぜ厳しい要件になったのか
なぜWindows 11のシステム要件がこれほど厳しくなったかというとセキュリティ機能が大幅に追加されたからだ。特にWindows 10でオプション扱いだったVBS(Vitualization-Based Security)/HVCI(Hypervisor-protected code integrity)が強制的に有効化されている。ハードウェアをハイパーバイザーで仮想化し、その上でWindowsカーネルをメモリの安全な領域で実行することで悪意のあるコードをカーネルに対して実行をできないようにするもののようだ。さらにコードの整合性ポリシーと呼ばれる決められたコードのみを実行させる機能が実装された。
ただこれらのセキュリティ機能は副作用があって古いIntel CPUで利用した場合は40%以上の性能低下があるとの報告がある。ほぼ使い物にならなくなるわけだ。DELLのホームページでも同様の問題が指摘されており、2019年に発売されたばかりの法人向けPCも影響をうけたそうだ。
ホームユーザにここまでのセキュリティは必要か、という疑問は残る。
アップグレードできるPCは?
現状のマイクロソフトの発表だと何も設定をいじらずにWindows 11に確実にアップグレードできるPCはおそらく直近2年、2019年以降に発売されたPCに限られるのではないだろうか。この辺でマイクロソフトが脚切りしようとしているのが目に見えている。それ以外は何らかの設定が必要になってくる。
要件があまりにややこしかったため有志がWindows 11にアップグレード可能かどうか判定するアプリケーションまで作った。この「WhyNotWin11」というツールを使えばWindows 11にアップグレードできるかどうかだけでなく、なぜアップデートできないのか細かく原因をチェックし結果を表示してくれる。これは本来ならばマイクロソフトが出して然るべきツールである。
日本語訳をしてくれた方がいるようで日本語にも対応しているので英語がちんぷんかんぷんな人でも安心して使える。ダウンロードして管理者権限で実行するだけだ。
「管理者権限で実行する」にはダウンロードしたアプリケーションに対しShiftを押しながら右クリックすればメニューに表示される。
それと比較して下はマイクロソフト公式のツール。Windows 11を実行できない理由すら示さずいくらなんでもひどすぎる。「PCの正常性チェック」というアプリ名からも傲慢さが現れていると言わざる得ない。
ハードウェアが対応していてもほとんどの人はアップグレードできない
CPUなどのハードウェアが対応してれば万事解決ではないのだ。なぜかというと設定の仕方がわからないという人が大量に出てくるからだ。世の中のほとんどの人はBIOS画面の出し方すら知らないだろう。
Windows 11へのアップデートではUEFIとセキュアブート、TPM2.0が必須である。Windows Helloなどをゴリ押ししたいマイクロソフトがこれを緩和することはないであろう。私はラップトップを何台か所持しているが数年前に購入したものでもハードウェアはUEFIとTPMに対応しているにも関わらず、出荷状態だとレガシーBIOSに設定されておりセキュアブート機能、TPMも切ってあった。ここから対応条件に持っていくにはマザーボードの設定変更後にMBRをGPTに変換する作業などを行わなければならなかった。
PCを自作していたり設定をいじくり回すのが好きな人は比較的簡単に行える作業ではある。しかしそれ以外の解説サイトを片手に設定できる人はそんなに多くないだろう。そしてPCショップか家電量販店にいけばニッコリしながら買い替えたほうが良いですよと言われるのがオチ。
Windows 11のアップデート診断・代行しますというサービスでも立ち上げたら一儲けできるかもしれない。
大量に出るであろう電子廃棄物
Window 10のサポートは2025年に切れる。まだまだ使えるPCがE-Wasteとなって大量に捨てられることになるだろう。多くの企業や人が互換性問題に頭を悩ませている中、なぜかWindows 11の発表は主要メディアの間では割と歓迎ムードだ。やれゲームで数%のパフォーマンス改善だのAmazon経由でAndroidアプリが使えるようになっただのはしゃいでいるが他にやるべき重要なことがあるのではないだろうか。
Windowsをアプリの試験実行のためにしか使っていない筆者からしたらWindows OSのシェアが落ちるのは歓迎だ。しかしユーザのために柔軟な環境にOSをインストールできるようメディア側がマイクロソフトにもっと訴える必要があると考えるのだがいかがだろうか。あるいはWindows 10のサポート期間を延長しろと意見すべきだ。
おわり
コメント
>5.大量に出るであろう電子廃棄物
秀逸な意見だ。ただでさえ半導体不足の上、希少金属を含むコンピュータ達がごみの山に変わると思うと腹立たしい。
それちゃんと選り分ける組織や企業あります。あなた方や、業者が知らないだけで。
ちゃんとやるべきことは用意してる。
それを無視したり、活動を阻害する奴らが悪いだけ。マイクロソフトが、じゃなくて、事業者は一般市民に問題がある。
事業者は一般市民に問題がある。 → 事業者や一般市民に対しての周知の方法に問題がある。
めっちゃ不満たらたらでわろすww
ほぼ同意だけど
> 「PCの正常性チェック」というアプリ名からも傲慢さが現れていると言わざる得ない。
これはホントそう思う
傲慢なのはお前らのほうだろ(笑)
何様だっての。
「PCの正常性チェック」の流用なんだから、そのままの名称でいいだろうよ。
>大量に出るであろう電子廃棄物
Microsoftみたいなサイバーインフラを完全支配している世界規模の事業者が
己の商売の都合ひとつで資源がバカバカにムダになるよう顧客の消費行動を誘導しようとしても
全く非難されないの?
化石燃料さえ抑制しとけば良いって問題ではないやろ
SDGsとはいったい何だったのか…。
どこのSDGs標ぼう組織見ても、自分ところの不手際を他者に押し付けてます。
なんなら地球温暖化の抑止なんて現時点で確定的な方法は無いのよ。
なんなら化石燃料さえ抑制しとけば良い、以外の方法は嘘っぱちという悲しい現実。
木を植えろとか、具体的な成果が出るまでに何百年かかると思ってんのか。
具体的な方法って、ドライアイスを宇宙空間に捨てる、とかくらいしか思いつかんなぁ。
私は、windows 経験が、結構ありますが、これまで セキュアブート とか TPM など 知らずに 充分使っておりました しかも 設定を探して 自ら 設定しないと という win11 に関しては、横暴だと思います bios の設定など 機器として できるなら 自動設定すべきです また やった マイクロソフトの 独断横暴 もう 嫌気がさす マイクロソフトです できるだけ 付き合いたくないので GOOGLE 系に どんどん 逃げようと思います
もう少しちゃんと人に伝わる言葉で書こうね。
文章よみづらいし、構文がおかしい。
その大量廃棄物をさ、回収して、クラスタリングして、ChromeOSとか入れて対応する方針でいけば、シェア塗り替えも出来るんじゃないかな。
廃棄物っていうけど、こういうのって障碍者支援事業とかでパソコン分解して金属を取りだしたり再利用できる資材を選り分けて再度資源流通に還元したりするんだわ。なので単純廃棄とはならない(そっちのが会社としては結果的に安くつくし。知らない馬鹿が多いのは別の問題)。
ChromeOSでWindowsアプリ動くようにするとか、何かしらやれることあるんじゃない?昔からマイクロソフトって会社は独占禁止法を違反するような状態を作ることで儲けてきた会社だし、シェア奪ったら一撃なんだから、そういう働きかけすればいいのではないかな。で、そういう奴いるよ。時間かかるだけで。