ThinkBook シリーズは以前から拡張性の高さに目をつけていました。
今回メーカー様にお願いして「ThinkBook 14 Gen 6 」を貸し出していただいたのでレビューをしていきます。
ギャラリー・外観
多くの Lenovo 製品に採用されているおしゃれなツートンカラー。
裏側の構造は IdeaPad シリーズそっくりです。
大きく違う点はネジがペンタローブではなく、フィリップス(プラス)ネジが使われていることでしょうか。ユーザーが自分でメンテナンスしやすいようになっていると思われます。
給気口は広く取られていますが、冷却ファンは右側に一つしかありません。
滑り止めに THINKBOOK のロゴが刻印されており、こだわりを感じられます。
ビジネスノートらしい、かなりスッキリしたデザインです。
排熱口(ベント)はディスプレイと本体の間に設けられています。ファンが CPU がある右側にしかないので左側は塞がれています。
キーボード右上に電源ボタン兼指紋センサー。
ヒンジは180度可動します。
正面とヒンジ。
左右側面のインターフェイスです。
Lenovo 製品に共通するラベル。
液晶フレーム上部にも THINKBOOK ロゴが刻印されています。
スペック
Model Name:ThinkBook 14 G6 ABP
MTM:21KJ004TJP
- パフォーマンス
CPU |
|
DRAMメモリー | 16 GB DDR4-3200MHz (SODIMM) |
DRAMメモリースロット | 2 |
GPU | AMD Radeon™ グラフィックス |
ストレージ1 | 512 GB SSD M.2 2242 PCIe-NVMe Gen4 TLC |
バッテリー駆動時間 | 最大約13.9時間 JEITA測定法 Ver.2.0に基づく測定時 |
電源アダプター | 65W |
- デザイン
ディスプレイ | 14″ WUXGA液晶 (1920 x 1200) IPS, 光沢なし, マルチタッチ非対応, 45%NTSC, 300 nit, 60Hz |
本体寸法 | 約313.5(W)×224(D)×16.9(H)mm |
質量 | 約1.38kg |
インターフェイス | USB Type-C 3.2 Gen2 x2(Video-out対応) USB 3.2 Gen1 (Powered USB) x 1 USB 3.2 Gen1 x 1 HDMI x 1 RJ-45 x 1 マイクロホン/ヘッドホン・コンボ・ジャック |
カメラ | FHD 1080pカメラ / HD 720pカメラ |
オーディオ | Dolby Audio |
- 通信環境
WIFI | Wi-Fi 6E対応 (IEEE 802.11ax/ac/a/b/g/n準拠) 2×2 & Bluetooth® |
Bluetooth | 対応 |
ThinkBook 14 Gen 6 AMD [PDF] (p4-ofp.static.pub)
特徴
- 画面アスペクト比 16:10 の作業しやすいディスプレイ
- 16:9 比のディスプレイに比べておよそ 1.4 cm ほど縦長になっています。この違いが意外と作業効率を向上してくれます。
- 汚れに全筐体アルミボディ
- ThinkBook シリーズは耐食性が強いアルミニウム合金性のボディなのでサッと拭くだけで汚れが取れます。高級なマグネシウム合金製ボディのノートPCに比べてやや重いですが、永くキレイに使えます。
- 拡張性が高い
- レビュー機なので本機の裏蓋は取りませんでしたが、ThinkBook シリーズは DRAMメモリーやストレージを簡単に取替えられることで密かに人気です。さすがに CPU はガッチリはんだ付けされているのでアップグレードできませんが、 DRAM がデュアルチャンネルともに着脱可能で、最大 64 GB まで増設できます。最近は ThinkPad シリーズでさえ DRAM がはんだ付けされていることが多いです。
しかも M.2 NVMe SDD を2個搭載可能なデュアルドライブのため、ストレージの拡張だけでなくオペレーティング・システムのデュアルブートが簡単にできます。
- レビュー機なので本機の裏蓋は取りませんでしたが、ThinkBook シリーズは DRAMメモリーやストレージを簡単に取替えられることで密かに人気です。さすがに CPU はガッチリはんだ付けされているのでアップグレードできませんが、 DRAM がデュアルチャンネルともに着脱可能で、最大 64 GB まで増設できます。最近は ThinkPad シリーズでさえ DRAM がはんだ付けされていることが多いです。
- 多彩なインターフェイス
- 外部ディスプレイへの出力からデータの転送までビジネス需要度の高いポートを備え、優れた管理性と拡張性があります。
- 優れたコストパフォーマンス
ディスプレイ
14インチ型のIPSパネルを搭載しています。オプションで作業領域がグッと広げられる 2.2K の高解像度パネルが選べます。
画面占有率は約90%とベゼル4辺の狭額縁化が進められておりコンパクトなボディにも関わらず画面が大きく感じます。 アスペクト比 16:10 と縦の表示領域が 16:9 よりも 11%ほど広いです。少しの違いに思えますがエクセルなどの作業効率をグッと上げてくれます。
ディスプレイの最大輝度は 300 nits と一般的なノートPCと同じで光量不足で室内での使用は困ることはないでしょう。ただ日差しが強い部屋や屋外で作業となると見づらくなります。
この IPSディスプレイの視野角はご覧の通りかなり広いです。
アンチグレア加工がされているのでやや発色が悪いです。光を反射しないので文字は見やすいですがプロフェッショナルな動画像編集作業をするには厳しいです。
LCD の割にバックライトのムラは少なく、フリッカーもなく安定したパネルです。
カメラスピーカー
プライバシーシャッター。閉じるとレンズ口が赤いドットで塞がれます。
カメラの性能はインカメラとしては良いです。下記の画像のようにレンズの歪み補正がやや甘いですが中々良い絵が撮れます。
しかしハイエンド ThinkPad のようにハードウェアレンダリングは行わないので動画はうーん…普通です。ビデオ通話くらいなら全然許容範囲ではあります。
筐体裏側にスピーカーが下向きに2つ設置されています。
音質はサブベースはおろか低音があまり出ておらず、軽い音です。あくまでおまけと言った感じです。
キーボードとタッチパッド
ThinkBook 14 Gen 6 のキーボードは IdeaPad シリーズと形状が似ており、 Back Space と Enter 周りが若干特殊な形をしています。そのため慣れていないと打ち損じることがあります。
しかし、それ以外は標準的な JIS配列 のためすぐに慣れることができました。方向キーが大きく使いやすいのが非常に高評価です。ただ ↑ ↓ キーがもう少し離れていれば尚よかったです。
キートップが内側がくぼんでいるシリンドリカル型キーキャップが採用されてるため、指先に違和感なく馴染み、長時間タイプしていても疲労感が少ないです。ただキーピッチがやや浅めなのでそこは賛否が分かれるところだと思います。
金属筐体なだけあってほとんどたわまないので安定したタイピングができます。
キーボードLEDも搭載。キートップの文字はシールではなく、ちゃんと2色成形されているため文字が光ります。
タッチパッドはディスプレイの 16:10比に変更されたことに伴い、大型化。横約120mm x 縦約75mmと MacBook Pro のタッチパッドとほぼ同じ(わずか 5mm だけ縦に短い)大きさのパッドのためカーソルを狙った位置に動かしやすいです。
最上位モデルのようなスムーズな押し心地ではありませんがガタツキなどはなくストレスなく使うことができます。
インターフェイス
インターフェイスは以下の通り。
- USB Type-C 3.2 Gen2 x2 (ビデオ出力対応)
- USB 3.2 Gen1 (Powered USB) x 1
- USB 3.2 Gen1 x 1
- HDMI x 1
- RJ-45 x 1
- マイクロホン / ヘッドホン・コンボ・ジャック
- 4-in-1 SDカードスロット
現代のビジネスシーンで必要なポートが揃っています。別途USBドングルなどを持ち歩く必要がないので携帯性も高いといえるでしょう。
AMD版の唯一の残念なところは Thunderbot 4 には非対応なところくらいでしょうか。
本機は RJ-45 ポートを備えているのでUSBアダプタをかませなくても有線LANを直刺しできます。
ケンジントンロックも備えています。
写真を撮る身からするとSDカードリーダーを備えているのが◎です。
性能評価
- CPU性能
AMD Ryzen 5 7530U | |
アーキテクチャー | Zen 3 (Barcelo-R) 7nm |
ベース・クロック | 2.00 GHz |
最大クロック | 4.50 GHz |
LLキャッシュ | L1I : 6 x 32 KB L1D : 6 x 32 KB L2 : 6 x 512 KB L3 : 16 MB |
コア数 | 6 |
スレッド数 | 12 |
TDP 消費電力 | 15 W |
内蔵 GPU | Radeon RX Vega 7 (Renoir) コア数 : 7 クロック : 0.40 GHz ターボ : 2.00 GHz |
「HP 15」や「ASUS Vivobook」「DELL Inspiron」などに採用されているCPUです。
CPUで内蔵GPUを搭載したノート向けCPUです。純粋なCPU性能では「Intel i3-12100-F」よりもややパフォーマンスが上といった感じです。
ベンチマーク
可能な限り同じ条件でテストを行っていますが、テスト機にインストールされていたセキュリティソフトウェアがそれぞれ違います。さらにテストした日時も違うので Windows のバージョンも違います。あくまで参考値としてご覧ください。
- 7-Zip
なんと、本機は「ThinkPad X1 Carbon Gen 11」に迫る性能でした。ストレージ性能がやや足を引っ張ってしまった形でしょうか。AMDプラットフォームはメモリ帯域がやや狭く、 PCI Express は Gen 3 までしか対応していないのでここで差がついたのだと思います。
- CineBench R23
CineBench R23 ではマルチコア性能では非常に良好なスコアを出しました。AMD Ryzen の優れたアーキテクチャーの真価を発揮しました。
シングルコア性能ではスペック上は基本周波数に劣る Intel i5 搭載機に苦戦。
ゲーミング性能
本機は外部GPUを装備しておらず、ゲーミング用途には全く想定していないと思いますが、いくつかゲームのベンチマークを行いました。
- ファイナル・ファンタジーXIV;黄金のレガシー ベンチマーク
- ドラゴンクエストX ベンチマークソフト 1.7.0 最高品質スコア
- スコア:5555
- 評価:快適
- ストリートファイター6 ベンチマークソフト
- ベンチマーク中にエラー
総評
主にオフィスワークなどを想定した CPU ですが、そこそこの 内蔵GPUを装備していることで高画質ビデオのプレイバックは快適でインディーゲームなどは動くと思います。
マルチコア性能が良いので仮想マシンを動かしたり、動画編集や3Dレンダリングでもそこまでひどくはなかったですが、過度な期待は禁物。たまに動画編集するくらいならば良いですが、クリエイティブな仕事に使いたいならストレスを感じることでしょう。
拡張性
DRAM メモリーはデュアルチャンネル2スロットであり、両方とも換装可能です。
M.2 2280 Gen4 スロットが2つ備わっていますが、 AMDプラットフォームだと Gen 3 までしか対応していません。
デュアルドライブを搭載可能なのでブートローダーをいじることなく、片方のストレージに Windows OS 、もう片方に Linux をインストールしてデュアルブート化するというような芸当もできます。
嵌合構造なため、裏蓋を外すにはギターピックやプラスチックツールが必要なので最初ちょっと手間取ります。
携帯性
重量
本体重量は 約1.38 kg 、ACアダプターは 約0.29 kg 。合計 1.67 kg です。14インチ型ノートとしてはそこそこ軽い部類に入ります。持ち運びも特に苦労しませんでした。
しかし、バッテリーやインターフェイスを切り詰めた軽量モバイルノートと比べると重いかな、という感じです。
製品名 | 本体重量 |
---|---|
Lenovo ThinkBook 14 Gen 6 | 1.39 kg |
HP 14 em0000 | 1.39 kg |
ThinkPad E14 Gen 5 | 1.44 kg |
DELL Inspiron 14 | 1.61 kg |
バッテリー性能
バッテリー性能は積んでいるCPUなどによって変わってくるので単純な比較は難しいですが、ちゃんとした条件を整えている MobileMarck を参考にしていきます。
バッテリー容量 (Wh) | MobileMark (時間) | |
---|---|---|
ThinkBook 14 Gen 6 | 45 / 60 Whr | 10.82 / 12.82 hr |
HP 14 em0000 | 41 Whr | 10 hr |
ThinkPad E14 Gen 5 | 47 / 57 Whr | 11.2 hr |
DELL Inspiron 14 | 54 Whr | N / A |
ThinkBook 14 Gen 6 ABP Spec (psred.lenovo.com)
バッテリ搭載量は同性能の競合製品と比べて特別多かったリ少なかったということもなく、平均的な容量です。
しかし、60 Whr の大容量バッテリーも搭載できるので他製品よりも1時間〜1時間30分ほど稼働時間を延伸できます。
総評
- Pros (強み)
- 16 : 10 比ディスプレイ
- 使いやすいキーボード
- 大型タッチパッド
- 高い拡張性
- 多類なインターフェイス
- 汚れに強い
- 比較的高いマルチコア性能
- Cons(弱み)
- シングルコア性能がやや低い
- ThunderBot 4 非対応
- PCI Express 3.0
ディスプレイは目が疲れにくく、作業空間が広い。キーボードはクセがない素直な設計。タッチパッドも大型なのでマウスを持ち運ばなくても正確にポインティングができます。また重量14インチとしては平均的なので移動にも苦労しないでしょう。総合的にみてレベルが高いミドルクラスのビジネスノートです。
さらに拡張性も高く、ストレージも交換、追加可能なのでITプロフェッショナルでも様々なシーンで活躍ができる機体となっています。ただクリエイティブなタスクをこなしたい場合は少々性能不足です。
弱点という弱点は AMD プラットフォームに起因するものなのでシングルコア性能やストレージ速度を重視したい場合は Intel CPU 搭載版を選ぶという選択肢もあります。
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