ヘッドホンを購入したは良いけど音のクセが強すぎたりベースがしょぼかったりといった経験がある方は多いのではないでしょうか。
ヘッドホンのチューニングはパソコンやスマホに接続されていればイコライザーを使って案外簡単にできます。
イコライザー(EQ)は音の周波数帯域ごとに音量を調整できる機器です。 イコライザーをうまく使うことでショボいヘッドホン/イヤホンでもそこそこ聞ける音質へと手直しすることができます。例えば、低音が弱いヘッドホンなら低音域を強調したり、逆に高音がキツすぎる場合は高音域を抑えたりすることでバランスの良いサウンドに調整できます。
そんな便利なイコライザーですが DSP(デジタル・サウンド・プロセッサー)の一機能として組み込まれていることがほとんどなため、まずこちらから導入します。
デメリット
イコライザーはヘッドホンに信号を送る前に一つ処理をかませるということですから当然 CPU にわずかながら負荷がかかります。
ゲーミングしているときやものすごくCPUの処理能力を要求するプログラムを走らせているときに稀に音声に遅延が起きるときがあります。
この点だけ留意して楽しんでください。
DSPとイコライザーの導入
ということで Linux デスクトップで広く使われている DSP(デジタル・サウンド・プロセッサー)「EasyEffects」を使ってみましょう。
多くのLinuxディストリビューションが PulseAudio をサウンドサーバーとして利用していた時代は PulseEffects という名前でしたが、 Pipewire が主流となった現在「EasyEffects」に改名されました。この際 GTK4 と GStreamer がツールキットとして使われるようになりました。
GitHub – wwmm/easyeffects EasyEffects
1. インストール
EasyEffects は Arch、Fedora、Gentoo、NixOS の他に Flatpak のパッケージが用意されています。
Arch Linux
sudo pacman -S easyeffects
Fedora
sudo dnf install -y easyeffects
Flatpak
flatpak remote-add --if-not-exists flathub https://flathub.org/repo/flathub.flatpakrepo
flatpak install flathub com.github.wwmm.easyeffects
GitHub wwmm / easyeffects Package Repositories
Easyeffects でイコライザーを利用するには LSP (Linux Studio Plugins) をインストールする必要があります。 lsp-plugins-lv2
パッケージをインストールしましょう。
2. 設定方法
まず Pipewire を選択して正しい入力先と出力先が選択されているか確認します。
Easyeffects を起動し、中央下の「エフェクト」を選択、左カラムの「エフェクトを追加 ▶」を押下。「イコライザー」の横の+ボタンを押して追加しましょう。
イコライザーが追加できない場合は再起動してみましょう。
GNOME 拡張機能
GNOMEデスクトップ環境だとワンクリックでプロファイルを変更できる「EasyEffects Preset Selector」という拡張機能を開発・公開されていて公式 Wiki でおすすめされています。
プリセットデータの入手
イコライザーの設定を初めて行うとき何から手を付けてたらよいのかわからないと思います。
そこでネット上で共有されているプリセットデータを活用するのが良いでしょう。
「AutoEQ」 は有志がヘッドホンの周波数特性を測定してイコライザーを用いてヘッドホンをニュートラルな音に近づけることを目的としたプロジェクトです。およそ4000台ものヘッドホンのデータが公開されています。MDR-ZX110 みたいな1,000円台のヘッドホンのデータまであります。ASHIDAVOXみたいな海外で認知されていないニッチなヘッドホンや日本限定モデルでもない限り乗っていると思います。
また主要なイコライザーやDSPに対応しているのでプリセットデータをダウンロードしてそのままツールに読ませることもできます。
あとは EasyEffects に読ませるだけです。
先ほどのエフェクト画面で右側「APO」ボタンを押してダウンロードしたプリセットデータを選択します。
これでヘッドホンは比較的フラットな音に調整できたと思います。このデータを下地にスライダーを少しずつ動かして自分好みのサウンドにカスタマイズします。
おわり
アイキャッチ画像:Md Mahdi on Unsplash
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