2016年6月23日
2012年に Raspberry Pi が世に出てから大企業を巻き込んで色んなシングル・ボード・コンピュータが開発された。去年キックスターターで公開された「Pine 64」もその一つで、元Appleの技術者が設計に携わったこと、わずか15ドルという価格破壊的な安さでにわかに注目を集めている。
ハードウェアだけ見れば非常にコストパフォーマンスの高い製品となっている。日本への送料を含めてもまだ安いと思えるくらいだ。
USBポートが少ないところを除けば、当方としてもRaspberry Pi 2や3よりもこっちを購入しようとしていた。
PINE A64+ | PINE A64 | Raspberry Pi 2B | Raspberry Pi 3 | |
価格 | 約2000円 | 約1600円 | 約5000円 | 約5000円 |
CPU | Cortex A53 | Cortex A53 | Cortex A7 | Cortex A53 |
CPU コア数 | 4 | 4 | 4 | 4 |
CPU バス | 64bit | 64bit | 32bit | 64bit |
CPU クロック | 1.2Ghz | 1.2Ghz | 0.9Ghz | 1.2Ghz |
GPU | Mali400-MP2 | Mali400-MP2 | Videocore IV | Videocore IV |
GPU コア数 | 2 | 2 | 1 | 1 |
メモリ | 1GB DDR3 | 512MB DDR3 | 1GB LPDDR2 | 1GB LPDDR2 |
USB 2.0 | 2 | 2 | 4 | 4 |
イーサネット | Gigabit | Gigabit | 10/100Mbps | 10/100Mbps |
HDMI | 4K | 4K | 1080P | 1080P |
Bluetooth | 無 | 無 | 無 | 4.1 |
Wifi | 無 | 無 | 無 | b/g/n 2.4GHz |
消費電力 | 2.5W | 2.5W | 9W | 12.5W |
※Pine64 は実際には日本への輸送料として1500円くらいかかるので3000円くらいになる。
※ラズパイの価格はAmazon基準、2Bは供給不足のため現在値上がり中
実はこの PINE 64 、開発途中に Raspberry Pi 3 が発売となり、史上初の64ビット機の座を逃している。しかし、上記の図の通り、Raspberry Pi 3 と比べても見劣りのしない性能であることがわかる。調べて驚いたのが圧倒的な省電力性能だ。公式にこの表記しかなかったのでどんな状態で計ったかわからないが、Pi 2Bの最大消費電力の半分以下だ。
ところが、実際に購入した人のレビューを見るとどうも宣伝通りの性能が出ていないようだ。特に問題なのはソフトウェアだ。
Linux環境下(Debian)でちゃんとしたグラフィックドライバがないため、動画を再生できないという致命的な問題を抱えている。
さらにHDMI-DVI変換アダプタが使えない、SDカードの相性問題(これはどの機器にも多少存在する)、特定条件下でネットワークドライバに不具合が発生するため通信速度が出ないといった問題も発生しているらしい。
また他の環境下、Remix OS や Android では動画の再生は正常に行えるが奇妙なノイズが発生したり、処理がもたついたりすることがあるようだ。コメント欄でも同様の症状が出てる人が多数いることからただの初期不良でないことは確かだ。
Pine64 は Raspberry Pi のように大きなコミュニティがまだないため、ソフトウェアの開発がまだOSが成熟していないようだ。
現在、Pine64 は箱から出してOSをインストールすれば快適に動作するわけではなく、多少のLinux開発の知識が必要だと思われる。積極的に開発に携わりたい、人柱になりたい人には良いかもしれないが、それ以外の人は止めておいた方がよさそうだ。ユーザが増えて、コミュニティが育つまで後1年くらい様子見した方が良いのではないかと思う。
またキックスターターのためいつ出荷できるかわからないものネック。某掲示板では半年前に注文したにもかかわらず、未だに届いていないという書き込みもある。
Raspberry Pi の他にも Odroid-C2 、Banana Pi、CHIP、UDOO、Lattepandaなどもあるので用途に応じてそちらも検討してみるのも良いだろう。特に Odroid は 2009年から数多くの機種が作られており、 ハードもソフトも円熟していると言われている。今度は Odroid についても調査してみたいと思う。
おわり
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