「GIMP」は最初からAdobe Creativeがインストールされた環境のPCを持っていない限り誰もが使ったことがあるくらい有名な画像編集ソフトだろう。
このGIMPという名称だが数年前に差別的な言葉であるとしてGlimpseというフォークプロジェクトが有志により始まった。第一に教育機関や企業で採用しやすいようにするのが狙いだ。
さらに名前を変えるだけでなくより使いやすいインターフェイスや便利な機能の実装を目指していた。既存のGIMPを使いやすく改良したUI「Glimpse NX」というプロジェクトも進行していた。しかし2020年に入りコロナ禍とコントリビューターの不足でプロジェクトは停滞状態になっていた。それが先月(2021年5月)にプロジェクトを正式に休止にすることがプロジェクトリーダーから発表された。
現在、GlimpseプロジェクトのGitHubリポジトリはアーカイブ化されている。
プロジェクトが頓挫した原因としては金銭面やプログラマの不足ではなく、プロジェクトの進行をマネジメントする人間がいなかったからだという。プロジェクトの立ち上げ人であるBobby Moss(ボビー・モス)氏は実際のプロジェクトのコーディング以外の作業に追われ、これが大変なストレスとなっていること、支援の不足により本業との折り合いがつかなくなったことで今年(2021)の2月にGlimpseプロジェクトから離脱したとのことだ。
資金面での不足が原因ではないとしているが、やはりプロジェクトの発起人であるボビー・モス氏が無給で働く羽目になったのが一番の原因ではないかと筆者は考える。Glimpse NXがどのようなものになるのか、というビジョンを多くのオーディエンスに示せなかったのが大きいのではないだろうか。Glimpseのホームページを訪問しても本命のGlimpse NXのスクリーンショットすら見当たらないのはプロモーション活動が足りないと言わざる得ない。
Twitterで拾ったスクリーンショットを見る限りGTK3のシンプル・イズ・ベストの哲学(ややもすればmacOS臭い)に合った魅力的なデザインである。これをYouTube上でプロモーションするなりすればもう少し注目を集められたはずだ。
それとOSS界隈は知らない人たちからは気の弱いヲタクの集まりと勘違いされがちだが、心にはモヒカンを生やしている人が多い。彼らにそっぽを向かれてしまったのもプロジェクトがうまく行かなかった原因だろう。
image via Pixabay

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