「TicWatch Pro」最高のWearOSスマートウォッチ

スマートウォッチ
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初稿 2019年2月4日

2018年末、遊びと検証用にTicWatch Proを購入した。本機はMobvoi社から発売されているTicWatchシリーズの最上位モデルだ。

Mobvoi社は中国の企業で、AIの開発研究をしており中国語の音声認識や文章生成などの研究をおこなっている。GoogleやNokiaの出身の技術者や大学のAI研究者がチームの中核メンバーとなっており、Google社が出資している。

開封・デザイン

IP68をクリアしているので完全な防塵構造と水面下での使用が可能。過信は禁物だが、ある程度の耐久性はあるのだろう。

化粧箱

ハイエンドモデルのため、パッケージングも高級感があり開封するにあたり高揚感をあたえてくれる。ガジェット好きの人にプレゼントするのは最適だろう。

同梱物

同梱物は説明書とUSBクレードル。日本語での説明も含まれている。残念ながら充電器は付属していないので別途用意する必要がある。この際、5V・A1の充電器を使わないとクレードルの回路が焼き切れる場合があるので注意。詳細は以下の記事をご覧いただきたい。

これはブラックモデルだが、シルバーもある。

リストバンドの表は革で裏側はシリコンだ。夏場は蒸れそうなので取り替えたいと思う。

TicWatch Pro 裏

裏側には充電ポートと心拍数センサーがある。またリストバンドも簡単に取り替えられるようになっている。 AliExpress などで大量に販売されている。

充電クレイドル
充電クレイドル裏

充電器にはマグネットが仕込まれているため、近づけると吸い付き充電が開始される。

Wear OS Logo
Wear OS アプリ

画面は二層構造になっていて省電力時には FSTN 液晶で表示され、スマートモードで OLED を使う。AMOLED ディスプレイなので非常に発色が良い。

大容量バッテリ

バッテリ容量は415mAHとApple Watch 4に比べ約1.5倍の容量だが、後述するSoCの問題でそこまで稼働時間に差はないだろう。大雑把な測定だが普通に使えば2日超、スマートモードを極力使わなければ3〜5日は保つ。Apple Watchや薄型のWear OSスマートウォッチの場合はほとんど毎日充電する羽目になるのでTicWatch Proは電池持ちが良い方ではないだろうか。

充電時間は約80〜90分とApple Watchや他のスマートウォッチとそこまで変わらない。

二層構造ディスプレイ

本機は、AMOLEDとFSTN液晶パネルの二層構造ディスプレイを採用している。上部のFSTNは透過式になっている。待機時には省電力の上部FSTNだけが表示され、スマートモードになると下部のAMOLEDが付くという仕組みだ。

「Casio WSD-F10」にも搭載されていた構造ですべてのWearスマートウォッチについていてほしいと思う機能だ。

エッセンシャルモード(FSTNディスプレイのみの表示)ならば30日間保つという触れ込みだ。

この二層構造ディスプレイを最大限活かすには傾き検知機能を無効にすべき。画面をタップしたときだけスマートモードを起動するようにすればかなりの節電になる。スマートモードを使いたい場合はどうせ画面に触れることになるわけだし、時間を確認するだけならば FSTNで事足りる。FSTNディスプレイは暗所では見えづらいが、太陽の下だとかなり視認性が高い。

TicExercise アプリ動作時の FSTN ディスプレイ

性能

ハッキリ言ってこれがイマイチと言わざる得ない。

この「TicWatch Pro」はWear OS搭載のスマートウォッチの中では最高性能の部類なのだが、 Wearデバイス全体を取り巻く環境がよろしくない。ちょうどAndroidスマートフォンの黎明期と似ている。

まず、これはQualcommのせいなのだがSoCの性能がショボい。TicWatch Proは「Snapdragon Wear 2100」というWearOSデバイスとしては最上級の SoC を使っている。これはSnapdragon 400をスマートウォッチ用に調整したSoCだが、いかんせん原型が2013年に発売されたローエンドSoCなため、処理速度が足りず省エネ性能もあまりよくない。

最新のSnapdragon Wear 3100も基本性能は同じでコ・プロセッサを搭載しただけだ。Wear OS 搭載デバイスにはQualcomm社のSoCしかほぼ選択肢がないのが非常に残念なところ。詳しくは本ブログの下のエントリに載せているので興味がある方はどうぞ。

メモリの容量も心もとない。本機のDRAM容量は512MBしかない。Wearデバイスの中ではトップクラスの容量だがAndroidの簡易版であるWearOSを動かすには明らかに容量が足りていない。

この2つの要因が組み合わさり、アプリの立ち上がりが遅い。通知など軽い処理ならば問題ないのだが、音声認識やマップなどを起動すると3〜5秒待たされる。頻繁にアプリがクラッシュする。これだったらスマホ取り出すわってなる場面が結構ある。

総評

1ヶ月近く使った感想になるが、十分に使用に耐えうると感じた。通知だけでスマートフォンも取り出す回数も減ったため、ストレスも少なくなったように感じる。通話を取りそこねることもなくなった。また Fit 関連のアプリも面白く、積極的に歩くようになり、少ないながらも運動もしている。音声入力で気軽にメモをとったり、タイマーを設定したりするようにもなった。

またGoogleが基本ソフトを作っているということもプラスだ。他のスマートウォッチだとスマホとの互換性がなくてペアリングできないなんて問題もよく見かけるが、Wear OSだとあまりそういった問題は聞かない。

ただ、 前述したようにWearデバイス自体性能があまりよろしくない。そのせいで肝心の音声認識の立ち上がりが遅い。アプリが頻繁に落ちたりシステムが不安定なときがある。せっかくNFCを搭載しているにもかかわらず、 Google Pay しか今のところはなく、その Google Pay が残念な出来なのも魅力を更に落としてしまっている。まだおもちゃを脱しきれていないように感じる。

価格もやや高い。2〜3年でバッテリがヘタってダメになってしまうような時計に30,000円も出したくないというのが多くの人の本音だろう。機能を絞った Fitbit (元Pebble) などのスマートバンドやフィーチャーウォッチがバカ売れしているのも納得できてしまう。

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しかしいずれにしろ TicWatch Pro は現在市販されている Wear OS 搭載スマートウォッチの中では最高の商品なのは確か。 Wear デバイスがどのようなものか体感したいならばおすすめの一品だ。

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Wear OS を快適に使うための設定をまとめたのでこちらの記事もどうぞ。

― 終 ―

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