IdeaPad シリーズは Lenovo から発売されているコンシューマー向け薄型ノートPCで、「IdeaPad Slim 1」シリーズはそのエントリーモデルにあたります。
しかし侮ることなかれ、なかなかのクォリティーのノートPCです。5万円代で買える 14型ノートで最もコストパフォーマンスが良いノートPCかもしれません。
そんな「IdeaPad Slim 170」 をメーカー様から貸し出して頂いたのでレビューしていきます。
シンプルでシーンを選ばないデザイン
IdeaPad シリーズはシンプルにもかかわらず安っぽさを感じないデザインです。
意匠は筐体右下にある小さなロゴのみ。
天板とパームレストはメタリックな加工が施されているので見た感じ高級感があります。
電源ボタンも押しやすくキーボード配列もスタンダードなものです。
IdeaPad シリーズの上位モデルはボディが全部金属製ですが本機は下位モデルということもあって筐体の下部はプラスチックに変更されています。
少しザラッとした手触りで金属よりも滑りにくく軽量です。ノートPCをよく持ち運ぶ筆者としてはこちらの方が好みです。
視野が広く発色の良いディスプレイ
ディスプレイは14.0型フルHD IPS液晶 (1920×1080ドット、約1,677万色) の光沢加工なしです。TNパネル版はあまり評判が良くないようですが、このIPSパネル版は自分としては結構良いと思いました。
発色が良く癖のないディスプレイのため長時間使用していても疲れにくいです。
最大輝度が 250 nit で他のIPSパネル搭載ノートと画面の明るさは遜色ありません。オフィスユースなど室内での使用は全く問題ありませんが屋外や日光が差し込むところだとかなり見えづらいです。
視野角も良好です。
色のにじみなどなく、きれいに文字を表示できています。
若干のムラはバックライト付きのディスプレイパネルの宿命であるため仕方ないとして、フリッカーは見当たらず安定したディスプレイです。
180° に真っ平らにはなりませんが数年前の IdeaPad シリーズに比べてディスプレイの可動域はかなり広いです。
オフィスPCとしては良好な性能
本機の全力はどうなのでしょうか。
まずはスペック表を見ていきましょう。
スペック・仕様
製品番号: 82VF007BJP
プロセッサー | AMD Ryzen™5 7520U(2.80 GHz 最大 4.30 GHz) |
---|---|
GPU | AMD Radeon™ 610M グラフィックス |
メインメモリ | 8 GB LPDDR5-5500MHz (オンボード) |
補助記憶装置 | 256 GB / 512 GB SSD, M.2 PCIe-NVMe Gen4 QLC |
表示機能 | 14″ FHD液晶 (1920 x 1080) IPS, 光沢なし, マルチタッチ非対応, 45%NTSC, 250 nit, LEDバックライト |
内蔵カメラ | 720p HDカメラ (プライバシーシャッター付) |
ワイヤレス | Wi-Fi 6対応 (IEEE 802.11ax/ac/a/b/g/n準拠) 2×2 & Bluetooth® |
本体寸法 (W×D×H)mm | 約 325.3 x 216.5 x 17.9mm |
質量 | 本体 1.38 kg + ACアダプター 340 g |
バッテリー使用時間(JEITA2.0) | 最大 約 11.2 時間 |
バッテリー容量 | 3 セル リチウムイオンポリマーバッテリー 42 Wh |
電源アダプター | 65W |
本機に搭載されている AMD Ryzen 5 7520U は2024年3月現在ではやや古い Zen 2 コアを4つ搭載したCPUです。性能的には Ryzen 5 シリーズというよりも Ryzen 3 に分類されるべきものです。
主にオフィスシステム向けのモバイル CPUでベースクロックは 2.8 GHz でターボ時はシングルコアが 4.3 GHz まで上昇します。 SMT/ハイパースレッディングにより 8 スレッドを同時処理できます。
グラフィックは Radeon 610M が内蔵されており、RDNA 2 アーキテクチャを利用していますが CU(コンピュートユニット)が 2 つしかありませんがクロックは 1.9 GHz まで出ます。
DRAM はハンダ付けされているので増設はできません。
無線LANはこういった廉価ノートPCには珍しくなんと Wi-Fi 6 に対応しています。
Lenovo IdeaPad Slim 170 14型 (AMD)
次にベンチマーク結果を見ていきます。
ベンチマーク結果
価格.com に掲載されている60,000円前後(誤差 +- 2,000円)で購入できる 14インチ型で DRAM を 8GB 以上搭載しているノートPCを調べてCPUを比較しました。新旧 Ryzen シリーズが居並ぶこととなりました。
CineBench R23 でベンチマークを実施。シングルコア 1115 、マルチコア 4525 というスコアでした。やはりというべきか Ryzen 3シリーズと比較すると良好な性能ですが Ryzen 5 シリーズとして見るとかなり劣った性能です。
しかし、一般的な使い方をするには二十分な性能です。動画のプレイバック性能も優秀で 4K 60FPS 映像を YouTube で再生したところ 1836 フレーム中 4フレームしか落としませんでした。
ゲーミング性能
本機をゲーミングノートみたいに使おうと思う方は少ないと思いますが念のためにどんなゲームがプレイできるか試してみました。
- ✕ ストリートファイター 6 ベンチマーク
- 低品質に落としても 15FPS が精一杯です。
- ベンチマークの途中でエラーが発生して完了できません。おそらく DRAM 容量不足によるものです。
- ✕ ファイナルファンタジー XIV 暁月のフィナーレ ベンチマーク
- ノートPCの標準設定で 30 FPS 出ていないので快適に遊べるとはいい難いです。
設定 | フレームレート | スコア | 評価 |
---|---|---|---|
高品質(デスクトップ) | 12.3 | 1851 | 設定変更が必要 |
高品質(ノートPC) | 15.6 | 2315 | 設定変更が必要 |
標準品質(ノートPC) | 22.4 | 3262 | 設定変更が必要 |
- △ 原神
- 正確な数値は測定できませんでしたが標準画質で見た感じ普通のゲームプレイでは 30FPS は出ています。
- ムービーなど動きが激しい場面では若干アニメのようなコマ送りになるときがあります。
- 〇 ヴァロラント
- デフォルト設定で静止状態で 150 FPS、移動すると 100〜60 FPSを推移しました。
- グラフィック設定を落とせば十分にプレイできるでしょう。
- ✕ APEX LEGENDS
- 標準設定 ロビー 11FPS。
- 訓練場 18〜20FPS 。設定を最低まで落として平均 27 FPS。
- ◯ マインクラフト(Windows ストア版)
- 概ね 60 FPSで快適に動作しますが、ときどき 58 FPS に落ちたりします。
- ◯ スカイリム
- 低設定で概ね 1080p 60 FPS で動作します。
最新の3Dゲームの動作は厳しいですが、10年前くらいの古いゲームは概ね快適に動作します。
高品質なキーボードといまいちなタッチパッド
キーボードは他のLenovoノートと一緒で使い心地が良いです。配列はJISそのままなので少し特殊な形をしている Back space や Enter キーにもすぐ慣れると思います。
キーのガタツキは一切なく打鍵感も良いですがプラスチックボディなので金属ボディのノートPCを使い慣れてしまうとわずかにおこる筐体のたわみが少し気になります。
バックライトはありません。
上下の余白が大きくタッチパッドはやや小さいですが十分一般的な作業ができる大きさでトラッキング性能も申し分ないです。あら捜しをするなら少し強めにタップするとカタカタと音が鳴るのが少し気になりました。
必要十分な性能の内蔵カメラ
プライバシーシャッターがあり、物理的にカメラを覆うことができます。
内蔵カメラは 720p HD です。暗所では露骨に画質が落ちますがWeb会議に使うカメラとしては十分な性能だと感じました。
軽量で持ち運びがラク
本機の重量は約 1.38 kg です。モバイルノートなども比較対象に入れてしまうとべらぼうに軽いということにはなりませんが、持ち運ぶのは苦ではありませんでした。
Lenovo IdeaPad Slim 170 14 | 1.38 kg |
MacBook M3 Pro 14 | 1.61 kg |
HP 14 Ryzen 5 | 1.39 kg |
Inspiron 14 Core i5 | 1.53 kg |
ACアダプターが 約 340 g なので持ち運び最大重量は合計 1.71 kg ほどです。
標準的な駆動時間とバッテリー容量
14インチ型としてはややバッテリー容量が小さめだと思いましたが、同価格帯の他社製品も概ね同じくらいの容量でした。
毎時ワット出力 | |
---|---|
Levono IdeaPad Slim 170 | 42.0 Whr |
HP 14-em | 43.0 Whr |
Aspire 5 A514-55-N38U | 41.0 Whr |
DELL Vostro 3420 | 41.0 Whr |
Ryzen 5 7250U の定格 TDP は 15 W で消費電力が少ないので稼働時間はそこそこ長く、ほぼ最大輝度で動画を見ながらの編集作業では大体6時間ほど持続しました。駆動時間は公証では 11.2 時間です。
充実のポート
フルサイズの HDMI ポートに USB 3 Type-A と Type-C まで対応しており、4-in-1 カードリーダーまでついてます。これで困ることはあまりないでしょう。
あえてケチをつけるなら USB Type-C ポートは USB PD に対応していないので長時間の外出には専用の電源アダプタを持ち運ばなければならないことです。
まとめ
本機はWordやExel、Webコーディングや軽い画像編集などをプライベートや大学で使うにあたって特に不満なくこなすことができる性能があると思います。
しかしゲームや3Dレンダリングといったことまでやろうとすると厳しいものがあります。
- Pros 良い点
- 綺麗で使いやすいディスプレイ
- Webブラウジングや事務作業には十分なスペック
- 軽量で持ち運びが楽
- 使いやすいキーボード
- 充実のポート
- Cons 注意点
- CPU は Ryzen 5 だが Ryzen 3 程度の性能
- 最近の高画質3Dゲームはほぼ遊べない
- DRAM が 8 GB と小さめで増設ができない
おわり
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