初稿:2018年8月13日
まえがき
『NVIDIA GT 1030』と言えばCPUがボトルネックにならなければ、最新のゲームでも低から中画質で 60 FPS 前後でそこそこ遊べる財布に優しいエントリーモデルのグラフィックボードである。
2018年3月に品不足状態を解消するために NVIDIA はこっそりと “DDR4” を搭載した GT 1030 を発売した。
これがとんでもない地雷だ。
この DDR4版 はメモリスピードがやたら低く、一部の APU、CPU内蔵グラフィックにも劣る性能。
もう発売から4ヶ月ほど経つがあまりにひどいらしく、YouTubeで話題になっていたので改めて注意喚起の意味を込めてご紹介。
GDDR5版の半分しかない性能
まず、メモリ周波数は30%の下げられている。ここまでなら悪く聞こえないであろう。
しかし GDDR5 は2つパラレルリンクを持っているが DDR4 にはパラレルリンクが1つしかない。このためおよそ2倍の I/Oスループット性能差が生まれてしまう。実計測だとメモリ周波数は約65%も低下している。
しかも DDR4版は GDDR5版と同じ 64 bit バンド幅のためメモリ帯域も同様に65%低下している。メモリ帯域は 16.8 G/s という4年前に発売された GT 730 DDR3 と同格の性能という情けない製品になってしまっている。
ついでと言わんばかりにコア周波数も 1.15 GHz に下げられているため、さらに6%の性能低下が追加されている。
何故かNVIDIA日本のホームページで GeForce GT 1030 のスペック表が見れなくなっていたので英語公式から抜粋
この動画では GeForce GT 1030 (GDDR5) と GeForce GT (DDR4) 、Ryzen 5 2400G (Vega 11) などでベンチマークを行っている。
その結果は悲惨なもので GDDR5版の半分の性能しか出ていなかった。Ryzen APU にも負けてしまう始末だ。まごうことなき純粋なゴミと評している。
消費電力はGDDR5版は30W 、DDR4版は20W。これで性能が半分ときた。エネルギー効率に関してもGDDR5版より50%も悪化していることになる。
見分け方
このDDR4版はMSIやGIGABYTE、玄人志向(メルコ)などの大手メーカーからも発売されており、広く出回ってしまっている。DDR5版のものと同価格帯で売っているので型番から判断するしかない。DDR4版は大抵末尾に「D4」と記してある。
Amazonだけでも5つも見つかった。素直にDDR4と説明文に記してある商品もあれば、メーカーの製品ページを見なければわからないものまである。
市場最悪のグラボか
何が最悪かと言えばNVIDIAがオリジナルの半分しか性能のないグラボを『GeForce GT 1030』として名前をそのままにコソコソと売り出したことだ。しかも GDDR5版 とほぼ同じ価格である。Amazonのコメントでも低評価が多く、騙されたというコメントを見かける。
詐欺で訴えられそうなものだがグラボ業界の伝統芸みたいなもので似たようなことがしばしば行われており、容認されてしまっている。(型番だけ変えて新商品であるかのように売り出すなど)
DDR4版はファンレスな場合が多く、中古の静音PCを使っている人にはごく稀に需要があるようなので GT 1020 とでも名前を変えて売り出せばよかったのではないだろうか。
追記
コメントでご指摘いただいたが、PCIレーンが1スロットしかないスリムタイプのPCで使うにはロープロファイルなGT 1030 (GDDR5)は安いし良い選択肢かもしれない。
4K出力・動画再生できるというのも大きな魅力だ。大画面でYouTubeなどを見る用途にも向いている。
しかし買う前によく検索して性能を確認した方が良いだろう。
お わ り
コメント
1スロしか使えない環境では、十分選択肢ですよ。
1050の1スロカードは、二倍くらいの価格なので。
もちろんGDDR5前提ですが。
1スロットしかない環境のことを完全に失念していました。確かに最後に一文は余計でした。訂正させていただきます。
自作コンパクトPC作っていって、電源は全部で50W以下にしないといけないが、
GDDR5版の30Wでも厳しい。。
しかもCUDAとかの用途なら、それに向いてるソフトでは性能変わらない。
GDDR5でした。ありがとうございました。
単に4K化したいという用途ならこれでも使えると思います。古いCore2Duo機に挿して4K化しました。Core2DuoにはGPUが内蔵されていないので、動画支援も機能していると思います。ご参考までに。
すみません。Core2DuoにGPUが内蔵されていなくても、他にGPUを搭載してれば動画支援は可能なのかもしれないので意味はなかったかもしれません。4K化としては意味があると思います。