Intel の 10nm プロセス開発遅れの原因は?

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2018/08/16

Intel は24ヶ月ごとに新たなプロセスに移行してきた。しかし、 14nm プロセスでの製造開発が遅延、24ヶ月が36ヶ月になった。10nm プロセスのプロセッサも当初の計画では 2016年に開発完了するはずだったが、開発は遅れに遅れ、2019年後半に本格製品投入予定となっている。

すでに Core i3-8121U という 10nm プロセスで製造されたローエンドモバイルPC向けプロセッサは発売されているが、 GPU は統合されていなかったりいくつか足りない機能があるようだ。大きなプレスリリースもなくひっそりと発売された。

このためプロセッサに搭載される予定の iGPU が開発の足を引っ張っているのではいかという憶測もあるが、問題はこれだけではないようだ。

EUV(極端紫外線リソグラフィ)技術の開発が遅れているのが主な原因だとテックジャーナリスト(Real World Tech)のDavid Kanter 氏は語った。 EUV は従来のリソグラフィとは全く別物。 Intel は今回クアッドパターニングなどの複雑な工法の導入を試みているが、 EUV なしでは 10nm プロセスでの実現がかなり難しい。旧来のリソグラフィ機器では製造に時間がかかりすぎてコストに見合わなくなってしまうというのもあるとのことだ。

AMD の 7nm と比べてどうなのか


2012年頃、Intel が 32nm から 22nm (Ivy Bridgeなど)へ微細化した際、 FinFET 構造(トライゲート・トランジスタ)をプロセッサに組み込んだが、同時期の GLOBAL FOUNDRIES は 28nm から 20nm に移行したとき FinFET を含めなかった。このことが大きな欠点になった。後にダブルパターニングをしなければならなくなってしまった。このためトランジスタ密度が Intel のそれよりも低くいにもかかわらず、工数が激増し製造コストも増大してしまった。

これは現在でも言えることで GLOBAL FOUNDRIES や SMIC、TSMC、Samsung など非常に小さいリソグラフィの数値を出してきているが、リソグラフィの数値だけでは単純比較できないのだ。この数値は技術的なものというよりもマーケティング的な意味合いが強い。なにより重要で性能に直結するのはトランジスタ密度だ。

今回も Intel はふんだんに技術を投入、 14nm に比べてトランジスタ密度が2.7倍にもなっていると発表した。 Intel の 10nm は GLOBAL FOUNDRIES が開発を勧めている 7nm の性能と非常に近いものになるらしい。

まあここまで Intel を擁護してるみたいに書いたが、まだまだ 10nm プロセスでの本格生産の先が見えていないのが現状。爆熱で自作ユーザからも酷評されている i9-7900X や 事あるごとにサーマルスロットリングが頻発する MacBook Pro や DELL XPS 15 などのハイエンドノートに搭載されている i9-8950HK など。Intel は焦りのあまりか発熱が大きくエネルギー効率が悪い結構お粗末な製品を発売してきている。いくつか工数を省いたトランジスタ密度が開発時よりも低い 10nm 製品を早期に投入してくる可能性もある。

もし Intel の開発がさらに遅れ、 GLOBAL FOUNDRIES の 7mm が予定通りに来年2019年市場に投入されれば、 AMD のリードは確実となる。PCユーザにとっては Intel と AMD 両方が活発に競争している状態が一番良いだろう。ぜひとも AMD には頑張っていただきたい。

追記:8月末、AMD は GLOBAL FOUNDRIES での 7nm プロセス製造を断念し、 TSMC のファブに生産委託することを発表した。


 


 

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