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というのはLinux初心者が真っ先にぶち当たる大きな問題だ。DistroWatch.comでリスト化されているだけでも270+ものLinuxディストリビューションがある。ハッキリ言って乱立状態だ。Linuxを使いはじめようという方にとって踏み出すのに躊躇する要因の1つとなってしまっているだろう。
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/1/1b/Linux_Distribution_Timeline.svg
選択肢が多すぎることは人にとって苦痛となることのほうが多い。おすすめディストリビューション10選!などという記事がネットにあふれていることも初心者にとってありがた迷惑だろう。とりあえずその記事の著者が知ってるディストリを列挙しているだけのようにしか思えない。マイナーなディストリを勧めているのならば更に質が悪い。せめて読者のために3つくらいまで絞るべきだ。
ではLinuxディストーションを使うべきか?
先に私の結論から述べるが、「Ubuntu LTS」から始めるのがベストだ。
Ubuntu Japanese Team – https://www.ubuntulinux.jp/download/ja-remix
Archがいいよ!だのSuSEやれRedHat系だのガヤガヤ無責任に言ってくる人もいるだろうが無視しよう。
自分に合うディストリビューションを探し回るのは時間がかかるうえ、それぞれのディストリでパッケージマネージャなどの違いがあるが、基本的に出来ること、やることは同じなのだ。ディストリ探しはある程度Ubuntu(ウブントゥ)で操作になれて初心者を脱して時間を持て余してからでも全く問題ない。
マイナーなディストリビューションは使うべからず
先程も述べたようにLinuxディストリは無数に存在している。しかし本当に意味を成す開発を行っているプロジェクトはほんのひとにぎりだ。ほとんどのマイナーな派生ディストリはごく少人数で開発・メンテナンスしており、ガワだけカスタマイズしてるものがほどんどだ。こういった作業は自分でもマニュアルを読みながらいくらでもできる。(設定ファイルなど参考になるときはあるが)パッケージの更新すらFork元にまかせているところもあり、そこでの変更が衝突して不具合がおこることもある。
この理由から初心者はユーザが少なく、小規模な開発体制で運営してるディストリは避けるべきだ。
またUbuntuにはKubuntu、Xubuntu、Lubuntuなど、公式が各種フレイバーを用意しているのでデスクトップ環境が嫌いだから使わないという言い訳も当たらない。
後述するが初心者にとって一番大事なのはくだらないエラーやバグに巻き込まれて出鼻をくじかれないことだ。
Ubuntu LTSとはなにか
軽く解説すると、UbuntuとはDebian(デビアン)という安定性が非常に高いLinuxディストリビューションから派生したOSだ。本元のDebianよりも実利的な方針で、クローズドなソフトウェアや新し目のバージョンのソフトウェアをユーザの利便のためならば躊躇なく取り入れている。主にLinux入門者にとって使いやすくすることを目的としたOSで、随所にそれがみられる。このことからOSSサポーターから反感を買っているところもあるがそれはまた別の話。
Ubuntuは半年ごとに新バージョンをリリースし、2年間のサポートを行う。この他にもUbuntu LTS(Long Term Support)というバージョンが存在する。サポート期間を5年間と長く設定した、いわばUbuntuの安定版だ。
2000年台、まだLinuxのGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)環境が黎明期だったころにUbuntuは登場し、Canonical社の豊富な資金を背景に急速に成熟していった。さらに誰でも簡単にインストールして動くことからメキメキとユーザを獲得した。この頃はまだ多くのハードウェアに対応しているディストリは少なく、インストールから対応ハードのドライバの設定をする作業まで大変な手間だったこともあった。OSをインストールしたは良いが再起動したら画面が真っ暗ということも結構起こった。そういう手間のいらなさでUbuntuが群を抜いていたのだ。
最近デスクトップ用途では陰りもみせてきているがUbuntuは現在でももっともユーザ数が多いと言われている。これに伴いもっともドキュメントが充実しているLinuxディストリビューションだ。
またコミュニティも他のディストリビューションに比べて毒性が低く入門者の方も気軽に質問できる環境があると感じる。(日本フォーラムは死んでいるが)エラーにぶち当たったとしてもウェブを検索すれば対処方法が乗っていることも多い。
Ubuntuならばマイナーディストリビューションのようにインストールエラーで悩むことはほぼない。Nvidiaのグラフィックドライバだろうがインストールまでスムーズにすすめるだろう。
多言語サポートの充実
Ubuntuは日本語入力もインストールした直後から可能だ。
忘れられがちだが、Linuxにおいて日本語入力環境を整えるのは結構難儀することが多い。入力メソッドを導入するドキュメントはネット上に無数に転がっていたりするがそのとおりにやってもバージョンの違いやディストリによって設定ファイルの取扱が違ったりで正常に動かないこともある。
他のディストリだと日本語のサポートがおろそかになっているものも多い。
英語が堪能な方ならば問題ないが、日本語入力ができなければ掲示板やフォーラムで助けを求めることもできない。
様々なデバイスに対応している
Ubuntuはスマホ、タブレット、PC、サーバやクラウドVPSなど幅広いデバイスに対応しているところも大きなメリットだ。開発環境が変化しても同じディストリビューションならばストレスが少なく開発に集中することができる。パッケージマネージャなどのちょっとした違いがストレスとなることもある。
Ubuntuは近年Debianを抑えてウェブサーバで1番導入されているディストリビューションとなっている。おおよそ40%ものマーケットシェアを獲得している。
W3Techs – Historical trends in the usage statistics of Linux subcategories for websites
もし仕事や大学でLinuxを使うことになった場合、Ubuntuにふれるとこになる可能性は高いだろう。大学の講義で今どきFedoraやOpenSUSEなんて教授が引っ張り出してきた日にはその大学の質を疑うべきだ。
最後に
自分に合うディストリビューションを自ら体験して探すのがベストだろうが、人のモチベーションと時間は有限なのだ。
はじめて触ったディストリビューションがコテコテにカスタマイズされたマイナーなディストリビューションだったことを考えてみよう。何らかのトラブルが起きた場合、対処法がわからず、Linux自体を使うことを辞めてしまうことになるかもしれない。
すすめる側の人間にも考えてほしい問題だ。ニッチなディストリビューションをすすめるのは良いが勧めた人がインストールからやりたいことにたどり着くまで責任取れるだろうか?他のメジャーディストリで起きないようなエラーが出たときつきっきりでサポートしてあげられるだろうか?
もちろん私もUbuntuがベストだとは思わない。他に優れたUIやツールを備えているディストリビューションはたくさん存在する。
未来の話
近年Arch LinuxベースのManjaro Linuxなども新規ユーザ獲得に向けてユーザフレンドリーなシステムを組む努力が多くみられる。ただのコミュニティにとどまらず、企業を立ち上げたことからもその本気さが伺える。
そしてここ数年その元となっているArch Linux本家も驚くほど安定性が増した。Pacman、AUR、シンプルで毛並み良いArchの良さと使いやすさが融合したManjaro Linuxにユーザの流入し、にわかに活気づいてきた。
はじめて使うディストリビューションにArchはふさわしくないと思うが、Linuxエコシステムの基本構造から学びたい人には最適だと言える。
何を隠そうこの記事もArch LinuxをインストールしたPCから執筆している。数年後にはもしかしたらManjaro Linuxが初心者に勧められるディストリビューションNo.1になるかもしれない。
しかし、繰り返しになるが今現在エラーやバグに悩まされる確率はUbuntuが一番低いだろう。現状で日本のユーザがスムーズにLinuxに馴染めるようになるのはUbuntuであろう。
おわり
コメント
ということで(?)、LinuxではなくBSD系にするとか。
(FreeBSDがお気に入り https://www.mkamimura.com/2017/03/freebsd-os-vmware-fusion.html なだからだけですが…)
(ライセンス等にこだわりがあってLinuxということなら…)
コメントありがとうございます。
BSD系列のシステムもまた魅力的で試してみたいという欲求もありますが、自分の中ではなぜか敷居が高い印象があって踏み出せずにいるんですよね…
シンプルで非常にクリーンなシステムだから是非使ってみてもらいたいと知り合いからも猛プッシュされてはいるのですが。
今度時間が出来たら試してみたいと思います。