Linux:AMDとNVIDIAどっちが良いのか 2020

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改稿 2020年7月5日

グラフィックボードにおいてRadeon(AMD GPU)とGeForce(NVIDIA GPU)、Linuxではどっちが良いかという論争が度々起こる。今回は自分なりの実体験を載せながらどちらが良いか比較しようと思う。

単純にハードウェアの性能で選ぶのならばNVIDIA GPUで間違いはないが、Linuxにおいては考慮しなければいけないことがいくつかある。

どちらが安定しているのか?

LinuxにおいてAMD、NVIDIA両者がリリースしているドライバには大きな違いがある。

AMDはドライバのコードをオープンソースとしてリリースしているがNvidiaは完全なクローズドソースだ。こう聞くとAMD GPUのほうがLinuxにおいて圧倒的に良いと思うかもしれないが、かつてはそうではなかった。長らくAMDはゴミみたいなドライバをLinux向けにリリースしてきたことからLinuxユーザから忌避されてきた。Xサーバのフリーズやチラツキなどが頻発し、使い物にならなかった。

しかし2018年頃になってこの状況が変わってきた。Linuxカーネル4.15では最新のAMD Radeon Vega GPUではカーネルパニックを頻繁に起こしたり正しく動かないことが多かったが、4.17にアップデートしたら何事もなかったかのようにスムーズに動作しだした。AMD GPUのドライバはOSSで最新のドライバがカーネルにマージされるから当たり前だがAMD GPUは新しいLinuxカーネルの方が相性が良い。

一方、 NVIDIAドライバはプロプラエタリなためカーネルにマージされることなく完全に分離している。ゆえにある程度熟れたLinuxカーネルと組み合わせたほうが安定する。Arch Linuxを使っていて適当にLinuxカーネルのアップデートを繰り返していたらXサーバ自体が起動しなくなる問題が年に数回は起きた。

AMD GPUのほうがトラブルがほとんどなく使える安定した環境を提供してくれると言ってもいいだろう。ただリリースされて間もないAMD GPUは避けたほうが良さそうだ。昨今のRadeonは大幅なアーキテクチャの改定を毎年のように行っているため、Windows OS向けのドライバであっても安定して動作しないことがある。

Waylandへのサポートはどちらが良いか

WaylandはX11に変わる次世代のディスプレイサーバとして2012年から開発が続いており、GNOMEやKDEなどの主要なデスクトップ環境が徐々に対応を完了させつつある。

Waylandが動作するにはGBMというAPIがグラフィックドライバに組み込まれている必要があるがNVIDIAは長らくこれを拒否してきた。代わりにEGLStreamというどこのコンポジタも対応していないようなAPIを使うよう強要してきた。

NVIDIAの目論見どおり、GNOME MutterKWin WaylandにEGLStream APIが組み込まれたが安定性がいまいちだ。ラグがひどかったり画面がちらついたりする。アニメーションを切ればそれなりに快適に動くが小さな引っかかりがストレスになることがある。

AMD GPUやIntel Graphicsではこういった心配は必要ない。

Intel GPUが最も安定している?

見落とされがちだがIntelのオープンソース・コミュニティへの貢献度はかなり高い。Intel CPUのマイクロコードやIntel Graphicsのドライバをオープンソース化しており、熱心にLinuxカーネルへコードを提供している。自前のLinuxディストリビューション「Clear Linux」までをも作り出し、そのソースコードがいくつものプロジェクトに利用されている。

古いノートPCにLinuxをインストールしてすぐに問題なく動画再生や軽いゲームならば遊べて驚いたという方も多いだろう。これはほとんどのノートPCにIntel Graphicsが内蔵されていたからにほかならない。

Intelが今年(2020)はじめに単一のGPU「Intel DG1」を発表したときに失望や嘲笑するような報道がなされたが私はこの行く末を非常に楽しみにしている。NVIDIA GPUやAMD GPUのように高性能でなくても良いが低消費電力、低価格で中程度の画質でゲームを遊べるGPUというのは需要があるだろう。

なによりもLinuxとの相性も注視していきたい。

余談だが、NVIDIA GPU向けに「nouveau」というオープンソースドライバがある。これは有志がNVIDIA GPUのドライバをリバース・エンジニアリングしたものでコンポジターとの相性がなかなか良い。だがプロプライエタリドライバに比べたら性能は劇的に落ちてしまう。

Linuxでの両者のパフォーマンスは?

さて、 Linux上でのAMD、NVIDIA両者の性能だが現行最新のAMD GPUの「Radeon RX 5700 XT」はNVIDIA GPUの「GeForce RTX 2080」良い勝負をしており、「Radeon RX 5700」は「GeForce RTX 2070」と競っている。

Radeon RX 5700 / RX 5700 XT Linux Gaming Performance With AMDGPU 5.3 + Mesa 19.2-devel - Phoronix
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最高性能のグラフィックボードがほしければNVIDIA GPUしか選択肢がないが、エントリーモデルやミドルレンジならばAMD GPUにも対抗馬がある状態だ。AMDはラインアップを増やし確実にギャップを埋めてきている。

まだNVIDIA GPUにのみ最適化されたゲームが多いため、ゲームによってはボロ負けすることもあるがF1 2017のようにAMD GPUに最適化されたゲームならば同じ価格帯のNVIDIA GPUを優に超えることがある。

結論

GNOMEやKDEなどのリッチなグラフィックスを使ったデスクトップ環境は使わず、ゲーミングやコンピュート性能に特化したPCを作りたいならばNVIDIA GPU。

トラブルが少なく安定したデスクトップ体験を得たいならばAMD GPUが良いだろう。

個人的には2020年現在グラフィックボードで現行最高性能の「GeForce RTX 2080 Ti」や「RTX TITAN」を買いたい、あるいはCUDAコアやTensorコアを利用してプログラムを組みたいといった明確な目的がなければLinuxデスクトップではAMD GPUで良いのではないかと考える。

― 了 ―

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