2018年7月24日
2016年春、マイクロソフトは WSL(Windows Subsystem for Linux)という Linux 互換レイヤーを発表した。
もうとっくの昔に誰かが言ってるかもしれないし多分何番煎じかわからない話題だろうけど、WSL(Windows Subsystem for Linux)ってウェブプログラマーなどの MacBook Pro ユーザを Windows へ鞭替えさせようって、マイクロソフトの戦略かもしれないねって話。
Mac の利点は Unix ベースのシステムであるということ。Linux は26年、Unix は50年もの長い歴史を持っており、多くのツールが開発され洗練されてきた。これらのパワーツールを使えるということは大きなアドバンテージだ。
もちろん PC に Linux を入れることで解決するけれど、 Linux の弱点はグラフィック関係に弱いことだ。特に画像や動画編集だと多くのツールはあるものの、1つのソフトでそれを済ませるというのがかなり難しく、Adobe Premiere や Final cut Pro のようなキラーソフトがないのだ。
Mac は Linux の強力なコマンドラインツールを使えるだけでなく Adobe 関係の動画像編集ソフトが1つの環境で手に入るのだ。多くの Web プログラマが Mac を愛用するのはほぼ何も環境設定しなくともこれらのツールがすぐに使えるからだと思う。
しかし、 WSL の登場で Linux プログラムを Windows でネイティブに動かせるようになった。Bash で Windows ファイルや Linux ファイルをいじれるのだ。
まだ多くのネットワークツールを使うことができないし、Windows ファイルの操作に一手間必要なことやパフォーマンスに問題があるなど、開発途中で完璧ではないが使ってみて驚かされた。
ということで、 WSL が完成したら学生やデベロッパーはMBP みたいにスペックの割には高価すぎるハードを買わずに済むのだ。
Unix 系のコマンドを Windows で使えるようになれば、 MBP が唯一良いのはスピーカーとタッチパッドくらいなものになってしまう。
ハイエンドユーザーにとっては macOS は驚くほどカスタマイズ性がないのも欠点になる。
マイクロソフトとしても、仕事道具であるがゆえにハイエンドノートを買ってくれるWebプログラマをターゲットにした商売は収益率が良いのだろう。
余談、グラフィックチップについて
MacBook はグラフィックチップでは AMD をパートナーに選んだが、 Adobe Premiere などは Nvidia 向けに最適化されているのだ。そして多くの Windows ノートPC では Nvidia チップを搭載している。使ってみればわかるが、結構なパフォーマンスとレンダリング時間の違いが出てくる。Nvidia の方は編集作業がヌルヌルだ。
更に 3D モデリングやアニメーション、ディープラーニングなどをやりたい場合も同じで、Nvidia グラボに最適化されたものがほとんど。あっとゲームも忘れちゃいけない。
余談の余談
最初に WSL のニュースを聞いたときに今更なぜこんなことをマイクロソフトはするんだと疑問に思うと同時に不気味に思ったが、ウェブデベロッパーをターゲットにしているのかと考えたらしっくりきた。10〜20年前ならともかく、今だとウェブ開発に携わっている職場や大学では MacBook Pro で溢れているし、この市場を取り戻したいと考えるのは結構自然ではないか。
Linux ユーザの目線から見れば Ubuntu や SUSE などを手軽にエミュレートできる環境ができることは結構良いことのようにも思える。Linux のデスクトップ環境もこれからも進化していくだろうし、もし Windows が正常に PC で動かなくなったら Linux ディストリビューションをインストールしてくれる機会があるかもしれない。
しかし、オープンソースコミュニティにマイクロソフトが必要以上に入り込んでくるのは怖いという気持ちもある。 MS が首を突っ込んで良くなったものもあるし、だめになった OSS もたくさんある。出資してくれるのは嬉しいが適正な距離を保つのが望ましいと思う。
おわり
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