概要
Arch Linux には Git や野良ソフトウェアのインストールを支援してくれる AUR(Arch User Repository)ヘルパーというリポジトリ管理ツールがあります。ユーザーらが作成したスクリプト (PKGBUILD) をダウンロードして必要なパッケージのインストールからコマンド入力まで半自動的に行ってくれるスグレモノです。
「paru」はそんな AUR ヘルパーの一つであり、人気なAURヘルパー「yay」のフォークプロジェクト。
yay は現在 yaourt の後継として多くの Arch 系 Linux ユーザーに使われています。bash、fish、zsh いずれのコマンドシェルでも利用可能でどなたにもオススメできる AUR ヘルパーです。その yay のメインデベロッパーが抜けて作ったのが paru です。
なぜそのデベロッパーが yay プロジェクトから離脱したのかについては某海外掲示板でパブリッシャーが保守的すぎるため嫌になった、と思わしきことが書かれています。真実かどうかはわかりませんが yay で実装されたほどんどの機能はその投稿者が提案したとの書き込みもありました。
paru の大きな特徴としてはパッケージをクリーンな chroot 内でビルドすることをサポートしていることです。不要なリンクやパッケージの依存不足などを防いでくれるので AUR パッケージをメンテしている人にとっては大きなメリットです。
また、 yay は Google Go 言語で開発が行われてきましたが、 paru は Rust でコーディングされ直しており機能を少しずつ追加していきたいとのことです。
使い方は yay とほぼ変わらないためすぐに移行できます。
yay もまだ残ったメンバーで開発が続けられているようなので慌てて paru を導入する必要はありません。それに AUR ヘルパーはスクリプトのダウンロードや編集処理以外は pacman に投げるため、処理速度の違いは今の所ほとんど体感できません。
GitHub – Morganamilo / paru (github.com)
yay との操作性の違い
yay とはほぼ一緒ですが、 -Y/--yay
コマンドオプションが消されていたり表示情報が変更されていたりなど、微妙な差異があります。 -c
や --gendb
オプションで代用できてしまうので最初から不要だったオプションといえます。他にも -Gf
や -Ps
と言ったちょっと便利な機能が不要だとして削除されたのでそれをどうしても使いたい人は yay に留まりましょう。
paru のインストール後は -h
コマンドでマニュアルをちらっと確認するのが良いと思います。yay よりも不要な行が減って若干見やすくなっています。
デメリットとしては一文字入力の手間が増えたことですが alias でなんとでもなることです。
インストール
AURヘルパーがすでにインストールされていれば下記のように簡単に導入できる。
$ yay paru
この後 yay は削除しても構わない
自前でビルド
自分でビルドしてインストールする場合は以下のように Git からコードをクローンしビルドすれば良い。
1. Rust の設定
Rust 環境がインストールされていなければ rust
か rustup
どちらかのパッケージをインストールしなければビルドできない。
Rust で今後プログラム開発を行う予定があるなら圧倒的に rustup がよいが、ビルドするだけならば rust で事足りる。今回は rustup をインストールするが、rust ならばインストールするだけで設定をg行う必要がない。
$ sudo pacman -S rustup
これだけではツールチェーンがインストールされていないので以下のコマンドを実行する
$ rustup default stable
2. paru をビルド・インストール
まずは必要な開発パッケージをインストール
$ sudo pacman -S --needed base-devel
クローンしてビルド、インストール
$ git clone https://aur.archlinux.org/paru.git
$ cd paru
$ makepkg -si
使い方
以下使い方の例一覧。
paru hogehoge #パッケージhogehogeをインストール
paru #システムのすべてのパッケージを更新
paru -Sua #AURのパッケージのみを更新
paru -Qua #AURで更新があるパッケージを表示
paru -G hogehoge #hogehogeのPKGBUILDや関連ファイルをダウンロード
paru -Gp hogehoge #hogehogeのPKGBUILDを表示
paru -Gc hogehoge #hogehogeのAURコメント欄を表示
paru --gendb #gitパッケージを追跡するデータベースを生成
paru -c #不要なパッケージを削除
paru -Scc #キャッシュや不要なリポジトリを削除
おわり
コメント
はじめまして。こちらのサイトを参考にArchでparuを導入して便利に使っていました。
最近paruで更新をかけると
::古いバージョンとしてマーク:paru
と表示されるようになりました。
ウェブ検索で見つからなかったのですがparu自身を更新する方法を教えてください。
コメントありがとうございます。
AURのコメント欄でも指摘されている問題のようですね。
AURのパッケージメンテナーが前バージョン 1.11.1 と最新のバージョン 1.11.2 の差違はなく、アップデートは必要ないと判断したため放置されているのが原因のようです。
そのまま使っていても全く問題ないですが、どうしても気になる場合はバイナリ版の paru-bin をお使いになるのがよろしいかと思います。
なるほど、そういう事情でしたか。
問題なさそうなので現状維持したいと思います。
ご返答ありがとうございました。