発売して間もない MacBook Pro 15インチの最上位モデルである Core i9 版が異常発熱してしまうという報告が次々とユーザーらから上がってきています。
設計に問題か
MacBook は動作音を静かにするために排熱ファンの回転数を普通のノートPCでは考えられないほど落としています。例えばこの2017年製の MacBook で CPU の温度が 80℃ になるまでファンが一切動きません。
このせいで CPU や GPU 、コンデンサがオーバーヒートし破損することが珍しくないと修理工場を経営するルイス・ロスマン氏は語っています。
ネットサーフィンや文章編集など、それほどかからないシステムに負担がかからない用途でしたら問題はありませんが、 MacBook を膝の上において動画編集などの重い作業をしようとすると熱くなりすぎてやけどをしてしまうほど発熱します。ちなみに英語圏ではよくノートPCを膝上で使うことからラップトップ(膝上)PCと呼ばれています。
熱くなるだけなら MacBook の寿命が縮むだけという致命傷で済みますが、パフォーマンスにも深刻な影響を与えます。CPU には 90~100℃ くらいの高温になると自動的に出力を下げて自壊するのを防ぐサーマルスロットリングという機能が組み込まれています。
昨年モデルよりも性能が低い場合も
MBP 2016 Core i5、MBP 2017 Core i5、MBP 2018 Core i9の性能を比較した人も動画を投稿しています。2コア増えているのでその分かなり性能は上がっているはずだが、差は微々たるものになってしまっている。
こちらの動画は有名なテック系 YouTuber の Linus 氏の動画。開封してからどれだけ早くサーマルスロトリングが始まるかのタイムアタックしています。
アイドル状態でも 60℃前後 という高平熱が出ており、ベンチマークソフトを走らせたらわずか 10秒 ほどで 100℃ に。動画のレンダリングでも 1分 ほどで限界温度に達しました。
最新の第 8 世代 の Intel Core i9 CPU は特に電力効率が悪く高温化しやすいため、 これを搭載した2018製の MacBook Pro は性能低下(サーマルスロットリング)が頻発してしまうようです。平均的な室内温度でもベースクロックを維持できないほど発熱してしまうとの報告するユーザーもいます。
先程述べた低すぎるファンの回転速度もそうですが、単純にこのシャーシには Core i9 を冷やすだけの能力が備わっていないのではないかと思います。 i7 用に設計したノートPCにやっつけ仕事で i9 を載せた感が拭えません。
搭載されている Intel Core i9-8950HK はオーバークロック可能なロックがかかっていない CPU ですが、このシャーシのせいでその真価どころか基本的な性能すら出せていない模様。
上の動画の中では Adobe Premiere のレンダリングでも去年の型 (MacBook Pro i7 2017) よりも遅いが冷凍庫に入れたら結果が逆転しました。いかに発熱が大きいのかがわかります。
i9 を載せたモデルは最低でもおよそ35万円はする商品です。問題の全貌が明らかになるまで様子をみたほうが良いでしょう。
VRMにも問題が見つかる
サーマルスロットリング問題の他にも CPU に電源を供給している VRM(Voltage Regulator Module) に問題があるようです。i9 に必要なパワーを満足に供給できていないみたいでフルパワーになると VRM が異常発熱し、マザーボードがシステムを冷却するために CPU に最小出力(800Mhz)するように命令をだします。冷えたら今度はまた滞った処理を慌てて済ませようと最大出力にする。アクセルをべた踏みしたり急ブレーキを繰り返しているようなもので、かなり非効率的になります。
この問題はファームウェアの更新で単純に サーマル・スロットリングのようにファンの回転数を上げれば解決するような問題ではないのが厄介です。
eTeknix – Apple Releases VRM Throttling Issue Fix for MacBook Pro
おわり
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